非抜歯矯正への憧れ
歯並びは治したいけど歯は抜きたくないというのは、ほとんどの人が希望することです。
しかし成長の終わった大人の矯正では、抜歯が必要なことが多くあります。
非抜歯で治すことができるのは歯のガタガタが小さく、アングルⅠ級という上顎と下顎の前後関係が正常なケースくらいです。
どうしても抜きたくないと無理やり非抜歯で治療すると、口元が出っ張った見た目になったり、歯周病のリスクが上がることもあるので注意が必要です。
抜歯矯正ではどの歯を抜くのでしょうか?
一般的には小臼歯という前から数えて4番目か5番目の歯を抜くことが多いです。
また、親知らずの抜歯も併せて必要になることもあります。
状態によって抜く本数は変わりますが、最大で小臼歯4本、親知らず4本の合計8本の抜歯が必要になることもあります。
8本抜歯と聞くと治療をためらわれるかと思いますが、診断結果に根拠があれば不正咬合を放置したまま過ごすよりは、長い目で見ると歯を守ることができることが多いです。
小臼歯以外の抜歯をすることはないのでしょうか?
歯を抜いて矯正をした後、残っている歯がダメになってさらに抜くということは絶対に避けたいものです。
例えば深い虫歯が原因で神経を抜いた歯は、咬む力に負けて折れることがあります。そして、歯が折れた時は大半が抜歯となってしまいます。
そこで大きな虫歯のある歯や神経のない歯がある場合などは、きれいな天然の歯を残すことを検討します。
ただし骨の状態によっては動かせない場所があることや、全体的なバランス、年齢、治療期間など総合的な判断により慎重に決める必要があります。
小臼歯ではない歯を抜いて治療した例
👉症例のこだわりポイント
「神経のある歯を残す」
今回の症例は20代前半の若い方でしたので、将来的に歯を失うリスクを最小限にすることを考え、神経のない歯を抜いて治療しました。
動的治療期間は2年2ヶ月でした。