八重歯について
日本では八重歯に対してあまりマイナスイメージはありませんが、欧米ではドラキュラや魔女などをイメージすることから、また中国では「虎の歯」と呼ばれ幸福が逃げるなどの迷信があることから、八重歯は忌み嫌われています。
また犬歯は噛み合わせの要となる歯なので、上下が噛み合っていない八重歯の状態は顎関節や他の歯への負担が増え、顎関節症や歯を失うリスクが上がります。他にも磨きにくく虫歯になりやすい、歯ぐきがやせやすいなど見た目以外のデメリットも実は多いのです。
このようなことから、八重歯になるのはなるべく避けたいところです。
八重歯になりやすい理由
ところで、なぜ八重歯はよく見かける不正咬合なのでしょうか。
これはまず現代人のあごが小さくなったこと、歯のサイズが大きくなったことなどが原因として挙げられますが、それ以外に歯の生え変わりの順番も影響しているのです。
歯は種類によって番号が決まっています。永久歯の場合、一番真ん中の中切歯が1番、その横が2番、犬歯は3番というふうに前から順番に番号を振っていき親知らずが8番です。
歯が生え変わる時、最初に上下それぞれの前歯4本(1番と2番)が生え変わります。同時期に乳歯の奥に6番が生えてきます。
その後、数年経ってから側方歯(そくほうし)と呼ばれる3番、4番、5番が生え変わるのですが、スペースが不足していると、歯が並びきらず八重歯になってしまうのです。最初に前歯が生え変わった時にはガタガタしていなかったのが、側方歯が生え変わり始めるとガタガタしてきたというのは、実はスペースが足りていなかったということです。
この時期のスペース不足は歯科医院で一般的に撮影する「パノラマ」というレントゲンで分かります。
小児の八重歯予防治療
今回のケースは8歳の子どもさんです。
治療前に撮ったパノラマレントゲンで、スペースが不足しており八重歯になりそうな状態でした。
2ヶ月間の拡大治療を行い、初診から約10ヶ月後にパノラマレントゲンを撮ったところ、前歯6本の並ぶスペースが増えたことが分かります。
現在まだ上の犬歯は生えてきていませんが、今後生えてきて少しスペースが足りなければ、再度拡大をすることも可能です。
八重歯予防 まとめ
永久歯の犬歯が生えてきてから矯正を考え始めると、拡大治療でスペースを確保することが難しくなり、小臼歯(4番)を抜歯して歯並びを整える矯正治療になってしまうことがほとんどです。
見た目には問題が起きていない時期からスペース不足を把握していれば、拡大治療で永久歯の並ぶスペースを確保できる可能性が高まります。
きれいな歯並びを目指したい場合、低学年のうちに小児矯正を行なっている歯科医院でレントゲンを撮って調べてみるとよいでしょう。