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セラミックは歯を削りすぎるって本当?

歯の詰め物を入れる時、どうしてもダイレクトボンディングで治してほしいと希望される人がおられます。

理由を聞くと、セラミックの詰め物は歯を削る量が多くなるから嫌なのだと言われます。

 

これはインターネットからの情報なのでしょうか。

確かに歯はなるべく削らない方がよいですが、状態によってはダイレクトボンディングでは逆に予後が悪いこともあります。

 

今回は長年の臨床経験から、奥歯のダイレクトボンディングの適応範囲をお伝えします。

(ここでの奥歯というのは小臼歯、大臼歯のことです。)

 

奥歯の詰め物を考える時のポイント

①咬合力

咬合力(こうごうりょく)というのは噛む力のことです。奥歯は前歯に比べて力がかかります。特に大臼歯はかなりの力がかかる部分になるため、強度的に耐えられるかが重要なポイントになります。

 

②器具のアクセス

大臼歯部は治療器具が入りにくい場所です。良質な治療をするためには、虫歯を削る器具、削った後に詰め物を入れる器具、そして詰め物を硬化させる光がしっかり到達するかがポイントになります。

 

ダイレクトボンディングが可能な例

・歯と歯の間のみにできた虫歯

・かみ合わせ面から見た時の欠損部が全体の面積の1/3〜1/2以下

・機能咬頭(上あごは内側、下あごは外側の山の部分)が欠落していない

・ダイレクトボンディング施術に必要な器具や、硬化させるための光がしっかり届く

 

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ダイレクトボンディングをお勧めしない例

・すでにインレーが入っている

 以前に型をとって入れるタイプの詰め物が入っている場合、すでに大きく削ってあることが多く、ダイレクトボンディングでは強度的に難しいことが多いです。

 ただし、小臼歯部や、大臼歯でも噛み合わせ面のみの場合は可能なこともあります。

 

・歯と歯の間の虫歯だが、噛み合わせ面にすでに詰め物が入っている

以前に噛み合わせ面に詰め物が入っている場合、歯と歯にできた虫歯と内面でつながっていることがほとんどです。詰め物を外して治療するとインレーと同じくらいの大きさになることが大半で、強度の面からセラミックインレーの方がお勧めです。

 

・ダイレクトボンディング施術に必要な器具や、硬化させるための光がしっかり届かない

一番奥の歯のさらに奥側の面などでは、虫歯を削る器具が到達できず、便宜的に噛み合わせ面も削って治療しないと無理なことがあります。このような状態の場合、削った後のダイレクトボンディングを適合よく詰めるのは困難な場合が多いです。

 

・長時間の治療に耐えられない人

ダイレクトボンディングは1回で治療が完了するというメリットがありますが、1回の施術時間は長くなります。

長い時間お口を開いているのが難しいなど、長時間の治療が厳しい場合は難しいです。

 

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まとめ

今回、自身の経験からダイレクトボンディングとセラミックインレーの適応をお伝えしましたが、実際にはお口の中の状態によっては変わることもあります。

適応でない状態で無理してダイレクトボンディングで治すと、二次虫歯や歯の破折の原因にもなります。

相談に行かれる場合は、最初から決めつけずにどの方法が最善かを担当医とよく相談して治すことをお勧めします。