自由診療とは
自由診療は、健康保険が適用されない診療のことです。
日本の健康保険制度では、診療内容により決まった費用が設定されており、保険医療機関を受診すると、各人に決められた負担割合により治療費の一部を自己負担します。
一方、自由診療では診療を受ける人と医療機関の間で個別に契約を行い、医療機関が決めた費用を全額自己負担します。
自由診療となるのは、健康保険の適用がない診療や薬剤の使用、健康保険の範囲ではまかなえないような診療の場合です。日本の医療保険精度は疾病に対する療養、つまり病気になった時に適用される精度ですので、病気の早期発見のために行われる人間ドックや健康診断、病気ではない分娩も自由診療になります。
混合診療とは
厚生労働省は、がんの治療などに対して混合診療の適用範囲を広げていくようです。
日本の医療保険制度では、混合診療は原則禁止で、保険適用のある治療とない治療を組み合わせると、保険適用対象の治療も含めて全額自己負担になるという決まりがあります。
例外的に保険適用を目指す先進医療に対しては、これまででも健康保険が使える場合がありましたが、その範囲を広げるということのようです。
混合診療が禁止されている主な理由は、科学的根拠の薄い治療の拡大を防ぐためと言われています。
この話を聞くと、自由診療は「科学的根拠のない治療」になるのか?と不安に思われる人もいるでしょう。医科に関しては私には分かりませんが、歯科に関しては科学的根拠に基づいた治療を、より精度を上げて行っていることをお伝えしたいと思い、この記事を書くことにしました。
歯科での自由診療 例1
歯科での自由診療の代表的な治療は歯列矯正とインプラントでしょう。
歯列矯正は少なくとも300年以上前から行われ、120年前頃には現代の矯正治療の基礎となる概念が確立されました。
一方、現代のインプラントは約70年前に海外で臨床で取り入れられるようになり、日本で本格的に臨床で使用されるようになったのは1990年頃です。
歯列矯正もインプラントも現在では全世界で標準的に行われている治療で、それぞれ国内外に多くの学会があり、文献も多数出ており、確立された治療といえます。
このようなことから歯列矯正もインプラントも科学的根拠に基づいた治療法であることが分かります。
とはいえ、新しい材料や方法が次々と出てきているため、細かい部分は見極めが必要です。
歯科での自由診療 例2
歯科では、健康保険適用のある治療法を自由診療で行う場合があります。
これは、より精度の高い治療を望む場合に有効です。
例えば根管治療が挙げられます。根管治療は歯の神経が入っていた部屋をきれいにする治療ですが、健康保険ではマイクロスコープの使用やラバーダムの使用が義務づけられていないことも一因で、治療の成功率が低い傾向にあります。また海外に比べて費用が安いこともあり、一回の治療に時間をかけることができず治療回数が増えることも予後が悪くなる原因です。
一方、自由診療の根管治療では、マイクロスコープやラバーダムの使用は当然のことながら、治療回数も最小限にすることができるため治療後の再発防止に有効です。
同じ歯を何度も治療することは歯の寿命を短くする原因となるので、一度の治療で成功させることは長い目で見ると歯を守ることができる可能性が高くなるといえます。
歯科医院を選ぶ時のポイントと注意点
歯科治療では、自由診療であっても保険診療であっても重要なことは、診断力と技術力です。
まずは適切な方法を提案できる診断力。そして実際の治療を進めていく上で必要な技術力。
治療法自体に科学的根拠があっても、これらが伴わなければ良い結果が出ません。
治療を受ける際は実際に医院に足を運んで、リスクなども含めてしっかり話を聞くことをお勧めします。
また、残念ながら歯科においても一部のモラルのない歯科医師が科学的根拠のない治療を行っているという話を聞いたことがあります。治療を受ける際は、最終的にはご自身で判断してください。
自由診療歯科 まとめ
健康保険精度が定着している日本では、自由診療に対して拒否反応を示す人も多いかもしれません。
しかし歯科での自由診療は、上手く取り入れると歯や口の中だけでなく、QOL(生活の質)が上がることも多いです。最初から否定せず、フリーな視野で情報収集してベストな治療を見つけられるといいですね。
やみか歯科・矯正歯科院長
歯科医師 山口美華